ばんせい日記

2021年10月からの公開備忘録

ハイパーハードボイルドグルメリポート 2021年10月28日

「ハイパーハードボイルドグルメリポート no vision」というテレビ東京制作の音声コンテンツにハマっている。

 

open.spotify.com

 

僕は知らなかったのだけど、元々テレビでやっているものの音声配信版らしい。

テレビの方はまだ見れていないが、音声コンテンツの方は特殊な仕事についていたり、状況にいる人に密着する。ディレクターが一人で対象者に接触し、話を聞く。

映像ではなく音声ということもあるのだろう、対象者は毎回かなり踏み込んだ話をする。人間の可笑しさ、愚かさ、強さ、さまざまな面に触れることができておもしろい。

最新作「元受刑者飯」では、受刑者の社会復帰を促す活動を行っている対象者の五十嵐さんが拘置所へ受刑者の面会にいくところに同行している。タイトルからも分かるように五十嵐さんも元受刑者のようだ。

人間というのは過ちを犯す。それは僕含め、誰もが犯す。大きな過ちを犯した人がフィーチャーされるだけで、小さな過ちは日々犯し続けている。そして、誰もが大きな過ちを犯す可能性がある。大きい小さいの間に明確な区別はなくて、ただ法律というルールであいまいに線を引いているだけだ。

そしてそのあいまいな線を越えてしまったものが受刑者となる。

受刑者と非受刑者との間に、さしたる違いはないにも関わらず区別をしたがるのが人間だ。昔、日本では罪人に刺青を入れる文化があったようだが、そうやって自分らがあいまいに引いた線を越えた人と越えてない人を区別して、一回越えたらゲームオーバー、あとは一生罪人として生きるべし、という考え方は今でもあまり変わっていないように思う。

拘置所からの帰りの車内で面会の様子を改めて五十嵐さんの口から説明される中で、ディレクターは「被害者の方はどう思うのかな、と」という問いを向ける。五十嵐さんは強い口調で答える。「許さなくていいんですよ。ただ一生一人の人間を恨み続けるということがどれだけ苦しいか、どれだけ痛いか。心が滅びちゃうんですよ。恨み続ける。それは苦しいでしょうね」。

加害者を更生させることは被害者の救済につながると五十嵐さんは信じている。自分や大切な人を傷つけた加害者がこの世からいなくなることで、被害者は救われるのかといえばそうではないのかもしれない。

許すことは無理だとしても、口先だけでもいいから「あなたを許します」と言えることで、きっと楽になる。加害者をほんとうの意味で更生させることで、「許します」と発せられる状況を五十嵐さんは作ってやりたいのだろう。